八千穂漁業

Fishery
長野県南佐久郡佐久穂町

子供の時から魚好き

「イワナ」「ヤマメ」「ニジマス」「信州サーモン」「信州大王イワナ」。
魚たちが元気に育つ『八千穂漁業』の養魚場は、八ヶ岳の麓を流れる清流・大石川のほとりにある。夏でもシャキッと冷たい清流の澄んだ水を、水車で酸素たっぷりに流入させ、魚にとって自然で心地いい環境を作っている。

「うちの魚が美味しいのは、6、7割は八ヶ岳の水のお陰です」と、佐々木隆文さん。
養殖業に携わり、かれこれ13年以上経つ、根っからの魚好きだ。

『八千穂漁業』の信州サーモンは筋肉しっかり。お刺身で食べると歯ごたえが最高だ。数日寝かせておくと、旨味が出て歯触りも良くなる。炙ったり焼き物にすると皮もパリパリで美味しいし、生食のコリコリ感にも多数のファンがいる。

佐久地域で育った佐々木さんは、田んぼでフナや鯉を飼っていたお祖父さんの影響で、子供の時から魚が大好きだった。「おじいちゃんの自転車の後ろに乗って、田んぼの魚に餌をやりに行く」のは、今も忘れられない楽しい思い出だ。
体力があり、エネルギッシュで運動好きな彼は、以前は東京に出てスポーツトレーナーになる勉強もした。でもやっぱり馴染みある故郷の、大好きな魚のもとに戻ってきた。

 

 

 

ブランド「燻師 -いぶし-」「醸師 -かもし-」ができるまで

困難は発想を育むチャンスの場でもある。
2011年の東日本大震災は、佐々木さんに自社の魚の価値を見つめ直すいい機会を与えてくれた。魚が売れなくなり苦労した時期、彼は自分達の養殖する魚が本当に美味しいのかと疑問を持ち、そこをまず見極めることから始めた。

魚をあらゆる方向から吟味し、他社とも食べ比べ、やがて自社の魚に心から自信を持つようになった。市場に下ろすだけでは食べている人の顔が見えないため、地元で小売をスタートさせた。餌も工夫すると、魚の風味がもっと良くなった。やっぱりうちの魚は美味しい!と、自信を持って営業に出かけて行き、徐々にファンが増えて行った。

加工品ブランド、『燻師 -いぶし-』は2013年に立ち上げた。
天然素材のみで味付けし、じっくりと冷燻製した信州サーモンスモークには深い旨味がある。他にも塩麹、酒粕、オリーブオイルに浸けた、『醸師 -かもし-』シリーズも大好評だ。お酒のつまみとしても、ご飯のお供にしてもお箸が止まらない美味しさだ。

 

 

 

楽しく、魚と向き合う毎日

佐々木さんの夢は、「町の魚屋さんになること」だと笑う。

”この仕事に命を燃やしている”(佐々木さんの言葉です)と語る彼は、最近は海魚にも夢中だ。毎日のように魚について勉強する熱心さ。まずじっくり魚を観察し、さばいて、味見、調理してまた味見。これを繰り返す。素晴らしい魚屋になるべく猛進中だ。

「次の世代に雇用が生まれるくらい、この町に魚屋文化が定着して欲しい」という思いから、色んなことに取り組んでいる努力家。2021年には加工場を新設をし、いずれは直接販売できるショップも立ち上げる予定だ。

「佐久地域の良さをもっといろんな人たちに知ってもらいたい」。

人が好きで人との繋がりを大事にする彼は、佐久穂町で今後どんなプロジェクトを立ち上げて行くのだろう。周りの誰もが期待する、温厚で気骨のある佐々木さんは、

もうすっかり町の魚屋さんだ。

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