Golden Green

Farmer
長野県南佐久郡佐久穂町

「農家っぽくない農家」

在賀季代さんと耕平さん、ふたりで開業した『Golden Greenゴールデングリーン』。長野県佐久穂町で50種類ほどの野菜を無農薬で育てる農場を営んでいる。

季代(としよ)さんは食べることが大好き。小学生の頃はいろんなお菓子を求めて、駄菓子屋さんに通い、10代からは毎週食べ歩いていたという。東京都足立区で育った彼女は、もんじゃ焼きやラーメンから、懐石やフレンチまで、全ての食が大好き。「朝起きたら、まず、お昼はなに食べよう。夜はどんなお酒を飲もう、と考えてます」と笑う、なんとも素直で愉しい人。

耕平さんは料理好きでワイン好き。JSA公認ワインエキスパートでもある。日頃から筋トレして身体を鍛え、「農業」と「佐久穂町政策アドバイザー」両方を元気にこなす、体力と脳力をスマートに兼ね備えた人だ。

そんな食好きの夫婦が、育てる野菜は「おいしい」をいちばん大事にしているそう。
「野菜が美味しくて届くのが待ち遠しい」と、お客さんに大好評だ。

とうもろこし『恵味・めぐみ』は、糖度が高く、コクのある甘さが広がる、トマト『麗夏・れいか』は、甘すぎず、ほどよい酸味と旨味があり人気が高い。

栄養や安全にも気を遣うけれど「おいしい」と言う声が何より嬉しく励みになる。

夫は大阪、妻は東京出身で、以前は銀座で忙しく働いていたふたり。
ある時を機に、耕平さんに農業へ転身する夢が生まれはじめた。季代さんは、ご主人の夢を”さらっと快諾”、そこから一気に移住計画がスタートした。まずは佐久穂町にある『のらくら農場』の研修生第一号として、2007年に夫婦で佐久穂町に越してきた。

今では「佐久に来れて本当にラッキーだった」と季代さんが言うほど、この土地に慣れ親しみ、自然に囲まれた生活を楽しんでいる。
「農家っぽくない農家だねってよく言われます」と、笑うふたりの足並みはぴったり揃っている。各自仕事にしっかり取り組みながらも、自由な時間も大事にする自然体のふたり。なんでも好きな人がやったほうが楽しめる。「こうあるべき」を押しつけずにお互いを労う。心地いい距離と空気感のある素敵なご夫婦だ。

 


距離はあっても、
お互いの顔がきちんと見える野菜作り

『ゴールデングリーン』はお客さんとの距離が近い農場だ。

こんなに人が訪ねて来る農場ってあるの?と思うほど、特に農作シーズン中はいろんな人達がやって来る。

農作業を手伝った後に、耕平さんの作るおいしい料理とワインでくつろぎ、自然の中でゆっくりと過ごす時間。八ヶ岳から吹き抜ける風を畑で感じる時間が持てたからこそ、帰宅後に送られてくる野菜がますます美味しい。そんな楽しみ方ができる野菜農場だ。

販売経路は全国のご家庭に発送する「旬の野菜セット定期便」と都心の飲食店への直売のみ。
季代さんは、驚くほど各家庭のニーズや、野菜の好みを把握している。

お客さんによって箱に詰める野菜を調節し、お任せセットとはいえ、かなりカスタムオーダー的な心遣い。野菜ひとつひとつを美味しく食べてもらえるようにと、手作りレシピも添えて同梱する。家にあるもので簡単に作れるようなレシピも多く、心の込もったサービスに定評がある。

以前東京でバーの店長を勤めていた季代さん。サービス業が大好きな、器用でマルチタスクな人だ。「農業は大好きな接客業を、畑の中で続けている感じで楽しい」と、離れていてもお客さんの顔をきちんと見ている。

世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方や暮らし方がある。
「いろんな人がいるって認め合うと、みんながきっと幸せでいられる」と、耕平さん。ふたりから苦労話はみじんも出ず「うちはもしかして日本一朝が遅い農家かも」と、朗らかに笑いあう。

「農家っぽくない農家」は、これからもずっと今の自然体でいてほしい。

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